新子安より

短編、コラム、ラップ、空想を扱う地域で人気のお店

独断とヘレンケラー

席譲る譲らない論争 その前にきれいに行儀良く座れや 改札でかっこつけてタッチ ピンポーンで渋滞 何考えて生きてんの? コンビニで列を待ってるときもそう 次の方どうぞ なぜ今財布出す 店員も店員おつりしまう前に 「またお越しくださいませ」二度とこねえ…

家系ラーメン検証

勇者推しを執筆していたのだが、どうしても調べずにはいられなくなってしまい、表題についての検証を始めた。 つまり、「俺が好きな家系ラーメンって系統似てるんじゃね?」ということである。 何でもそうだが、系統があるものはルーツがある。家系と呼ばれ…

We cannot understand Tato.

わかっていることといえば、彼の身長がおおよそ玄関のドアと同じぐらいの高さで、たびたび頭をぶつけては、照れ臭そうに笑うその顔が無邪気ということぐらいだった。 その日の朝、彼の住むアパートの前に黒山の人だかりができていた。中心にいたのが、彼その…

冷静と冷静のあいだ

そういえば、草木のにおいがあった。 何度目かわからない現実逃避でやってきた山には、人が多く溢れていた。 記憶を辿れば辿るほど、顔がぼやけて思い出せない。あの日、僕たちは日常をなんとか抜け出したくて、申し訳程度の装備で山頂を目指した。なんとな…

勇者推し 第4話

「私、賢者とかってよくわからないです」 「それに今、何が起きてるのかもわからないんです」 「取り柄もないです。今日もたまたま街を歩いていただけで」 「だから私は、賢者だなんてそんな」 「え?いやいや、素質だなんて」 「お金ですか?あればいいなと…

私とサガフロンティア2 その3

鬱ゲーと呼ばれるジャンルがある。 ストーリー中にヒロインが「サラマンダーより、ずっとはやい!」などと言うような作品もあれば、普通に主人公の選択が追い込まれていき全く救いのないものもある。 サガフロンティア2は、鬱ゲーとまでは言わないが、鬱要…

私とサガフロンティア2 その2

書くのを忘れてましたが普通にネタバレを含む記事です。 ハンの廃墟に12時間篭ることで得たもの :自信、勇気、忍耐力、「絶対あててよね」という信頼感、ステータス、スキル、装備 失ったもの :初心、時間 やはりというか、ハンの廃墟以降のウィルパーテ…

私とサガフロンティア2 その1

※何か寄稿を依頼されたときのストックシリーズ 「完熟卵が倒せないんだよな」 大学の食堂で隣のテーブルから聞こえてきたのは、明らかに食べ物の話題ではなかった。なぜなら、完熟卵とは、知る人の間では「死ぬほど茹でた卵」ではなく「サガフロンティア2の…

勇者推し 第三話

「いいと思います。真面目そうですし、素質もあるでしょう。私が偉そうに言うのも変ですが」 「いや、十分だよ。怪しまれないようにしたつもりだが、ガッツリ警戒されてしまったね」 「そうでしょうね。私のときを思い出しました」 私、勇者は今日で16歳の誕…

勇者推し 第二話

状況を整理しようと思う。 【パターンA】 私はどこにでもいる16歳の女子高生。道を歩いてたら偶然、ギョーカイっぽい人から賢者にスカウトされてビックリ!私の高校生活、どうなっちゃうの〜!? 【パターンB】 「魔」が足りない…。私は知っていた。自分が…

勇者推し 第一話

今日は勇者様の生誕祭だ。 この国に、いや、この世界に平和をもたらすために日夜奮闘する勇者様。私と勇者様は同世代で、幼い頃から母に「あなたも勇者様みたいに」とか、「勇者様ならそんなこと言わない」と言われて育った。正直それが大変に苦痛で、「私世…