新子安より

短編、コラム、ラップ、空想を扱う地域で人気のお店

家系ラーメン検証

勇者推しを執筆していたのだが、どうしても調べずにはいられなくなってしまい、表題についての検証を始めた。

つまり、「俺が好きな家系ラーメンって系統似てるんじゃね?」ということである。

何でもそうだが、系統があるものはルーツがある。家系と呼ばれ、これまで長い歴史を辿ってきたラーメンにもきっと物語があり、そこから自分の趣味趣向を読み取ることができるのではと考えた。

思い立ったらなんとやら、さっそくGoogle検索をかけてみた。「家系ラーメン ルーツ」と。すると一枚の画像が出てきた。

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いや、多いよ。

上のほうはまだわかる。総本山の吉村家とその弟子を中心とする、家系ラーメンの始祖とも呼べる各店だ。私も吉村家本店と、末廣家のラーメンは食したことがある。

ここで注目すべきは、三段目にある「おーくら家」だ。京急東神奈川(旧・仲木戸)駅から徒歩5分ほどの場所にある老舗で、たしかにとても美味しいのだが、まさか直系店だったとは知らなかった。どうやって調べてるんだこれ。

そして、同じ段にある「王道家」系列の店舗も私にはゆかりがあった。相模大野「クックら」と六角橋「とらきち家」である。パンチの効いたスープとボリューミーなほうれん草、そしてスモークチャーシューが特徴的な両店は何回か訪問しており、そのコストパフォーマンスの良さからも激戦区での高評価はさもありなん、といったところ。

しかし私は正直、チャーシューにスモークがかかったり鶏油が強めなスープは好きではない。食べやすいのに味が弱くない、そんな家系ラーメンが好きだ。「のり増し」が鬼に金棒とか思えるような、優しさに包まれた味を求めている。私の家系ラーメンルーツは、間違いなく「稲田堤 武蔵家」だった。

通学のため乗り換えに使っていた稲田堤の駅にある、小さなラーメン屋。夕方からのアルバイトの前に寄るにはちょうどいい立地だった。そしてこの店、ジャンプやらマガジンやらの最新号をいつでも置いていた。少し長めの待ち時間を潰すため、マンガを読みながらラーメンを食べる。この行儀の悪さが最高だった。

武蔵家に通っていたあの頃から10年余り、今年の1月、懐かしさとともに私は「武蔵家 菊名店」を訪れた。店舗こそ違えど、そこにある味は記憶と違わぬ優しい味だった。マンガこそ読まないし、のり増しもしないけれど、十二分の充実を得ることができた。

先日のこと、この検証を始めるきっかけとなる出来事が起きた。以前からも何度か通っていた町田の家系ラーメン「町田家」に訪れた際に食べたラーメンに、優しさとバランスの良さを、そう、「武蔵家」を感じたのだ。もう一度先ほどの系図を見てみると、

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あった。オリジナルに分類されるらしいのだが、「たかさご家」という店から分派した両店は姉妹店と呼んで差し支えないだろう。この表を初めて見たとき、正直言って震えた。ていうかさっきも書いたけど、どうやって調べてるんだこれ。

話したいことが多くて書ききれなかったが、この他にもルーツを共通していた意外な店舗というのも存在した。BOMBA家が松壱家系列だったのは何となく騙された気もしたぐらいだし、湘南家から派生したラーメン屋もあるとかいうのが本当に不思議で笑ってしまった。差し当たり、「たかさご家」にはいつか訪問しなくてはならないと感じている。

家系ラーメンに歴史あり。読者の皆様も是非、気になる店舗を開拓してほしい。それでは、充実した家系ラーメンライフを。