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私とサガフロンティア2 その3

鬱ゲーと呼ばれるジャンルがある。

ストーリー中にヒロインが「サラマンダーより、ずっとはやい!」などと言うような作品もあれば、普通に主人公の選択が追い込まれていき全く救いのないものもある。

サガフロンティア2は、鬱ゲーとまでは言わないが、鬱要素がある。それがこの、ウィルナイツ編のヒロイン、コーデリアの死亡イベントだ。

 

実はこれ、「潜入!アレクセイ一味」というイベントで、親の仇であるアレクセイ一味に仲間を送り込み、調査を行うもの。私は初見プレイ時には普通に「強いから」という理由でタイラーさん(野盗と間違われた男)を選んだ。

このときの選択肢によりコーデリアが死ぬということを知ったのは、数年経ってアルティマニアを読んでからだった。普通にびっくりした。ヒロイン死ぬんかい、よかった選ばなくて、と。

そう、私は2回目のプレイ時には知っていた。コーデリアを選ぶと死ぬことを。なんとなく頭をよぎるのは、「知ってるんなら死亡パターンでプレイすべきでは?」ということである。しかし……

https://jp.ign.com/saga-frontier-2/34839/feature/20-playstationrpg-2

ここで、この記事を読んでほしい。

昨年公開されたものだが、これに近いようなことを考えてしまったのだ。たしかにメインキャラクターの死というのは、物語には「よくある」もので、読者諸氏がまっ先に思い浮かぶのはあのケータイ小説「恋空」であろうが、あのような形で物語の柱に位置づけられるのとも少なくはない。

しかし、だ。

プレイヤーのエゴでコーデリアを死なせてしまっていいのだろうか?コーデリアを死なせてまで、このゲームを完走する自信は私にはない。見殺しにすることと同じだ。あんなに育てたのに。ハンの廃墟に篭って、デュエルでアルダーストライクを習得したあの長い時間が無に帰してしまうことにもなる。なにより、コーディーは私たちの仲間なのだ。何が「ビンテージワインのように、より熟成された芳香を感じられた」だよ。君は便所の芳香剤でも嗅いでるといい。

ということで、今回も私はタイラーさんにお願いした。タイラーさんはふたつ返事で、「いいぜ」と言ってくれた。やはりこの男、ナイスガイである。この男のどこが野盗に見えるというのか問い質したい。

こうしてコーディーの命は再び守られることになった。いくらゲームといえ、人の命を弄んではいけない。ストーリーの柱だからとかそんな理由で、妙な選択をすることはないのである。

でも、「他のゲームから連れてきてヨヨを潜入させる」が選択肢に浮上していたらこんなには悩まないだろうな、とも思う。